地球のことを知りたい異星人、パートナー(高二男子)と邂逅す

学生、異星人を教育す

 

イーツ
イーツ

地球人高校生(マナトさん)と軟体型異星人(僕)の初対面!
これからよろしくお願いします!

 

「…………」

そこは何の変哲もない私立高等学校……とはいかなかった。

地方校にしては偏差値がちょっと高め、生徒数は各学年に十名ほど、山の中にデンと建って全寮制……そんな特色さえどうでもいいと思わせる唯一性があることはあらかじめ聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった真人(マナト)は、「夢かな?」と一旦現実から距離を置く構えなのだった。

「は、は、はじめまして。僕の名前は■■■といいます!」

礼儀正しく自己紹介してくるのは、王冠っぽいものを頭に乗せたつぶらな瞳のクラゲ状生物だ。

手のひら大のそれがなんでプカプカ宙に浮いているのか、クソ流暢な日本語を喋るのか、その言葉の中に明らかに地球産の言葉ではない部分が混ざっているのかについては真面目にマナトの知るところではない。今はまだ。

(二年になったら生活全般がガッツリ変わると聞いてはいたが……)

桜舞い散る四月を迎え、晴れて二年生に進級したこの日、この瞬間から、マナトの生活はこの「王冠っぽいものを頭に乗せたつぶらな瞳のクラゲ状生物」を中心に動いていくことになる。

それがこの私立十一月高等学校に入学した者の責務なのだった。

 

 

 


●真人(マナト)
私立校の二年に進級。勉強は嫌いではないし、ほとんどのことはやればできるが、特に何もやりたくはない草食省エネ系男子。


●異星人(イーツ)
どこかの星の王族。謙虚で勉強熱心。地球のものはなんでも物珍しく、後に部屋がア○ゾンの箱であふれかえる。

 

 

 

顔合わせをすませて部屋を出ると、この学校の理事長の息子である蛍雪(ケイセツ)が笑いながら肩を叩いてきた。

「よ、マナト。お前のパートナーどんな異星人だった? 俺んとこ一反木綿的なヤツだった。すげえ絡んでくる。物理的に」

そうか。一反木綿的なヤツとかもいんのか。無機物でよかったな。お前虫苦手だからな。マナトは遠くを見るような目になった。

「俺のは……王冠かぶったクラゲ的なヤツだった……」

「王冠! ヤッバそれ王様じゃん! 惑星主かな、懇意にしとけよ!」

「……王族がわざわざ地球に来んの」

「簡単に来れんなら来ることもあんじゃね? 知らんけど」

「俺、王族の相手とかできねんだけど」

「んなの向こうだってわかってるって。普通でいいよ普通で」

たとえば紳士相手の「普通」(礼節を持って接する)と犯罪者相手の「普通」(背負い投げも辞さない戦意)が異なるように、異星人相手の「普通」も相手の性質によりけりだと思うのだが、この場合の「普通」はどうあるべきなのか。

(色々知って……距離感掴んで……相手が王族なら失礼にならないように気も使って……、……だる……)

自分の勉強だってあるのに、今後はあのクラゲファーストで生きていかねばならず、仮に相手が個性的で有害な価値観の持ち主であっても、よほどの被害がない限りは離れることさえ許されないのだ。

家からいちばん近いからという理由で選んだ学校の校風がこうまで厄介だったとは。こぼれ出るため息は肺を空にする勢いだ。

そんなこんなでマナトの高二生活がはじまるのだった。

 

 

 

・私立十一月高等学校は標高がひっくい山の一合目に建つ全寮制の高校である。

・一年生の授業風景は通常校と変わらない。ただし、二年進級に向け、授業とは別に各自世相を見て最先端科学技術などの知識を随時インプットしていくことを推奨される。・二年生に進級後、学生は一人につき一体、パートナーとなる異星人をあてがわれる。目的は彼らに地球の現在の事情や知識を教えることである

・パートナー同士(学生と異星人)は、学業成績、素行、寮の部屋などのあらゆる事項、あらゆる結果を共同で背負うものとする。

 

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