三体目の神獣は、リト族の英傑リーバルが使役していた、鳥の形をしたヴァ・メドーです。
リト族はリリトト湖に住む少数民族なのですが、話によると、つい最近、つまり私の力が弱まりリンクが目覚めた頃から、メドーは上空を飛ぶリト族を砲撃するようになったとのことでした。
リト族は勇敢な戦士たちを空や地上から送り込みますが、返り討ちに遭い負傷者が続出。
そんなゴタゴタの中にリンクが到着したのでした。
「空の化物を見たかい？ 数日前に現れた厄介者さ」「大昔は俺たちの守り神だったのに、近付くと撃ってくるようになって…ほとほと困り果てているところさ」
一瞬「飛ぶのが危ないなら歩けば？」と言いたそうなリンクでしたが、即座に「そういうことでもないな」と思い直したようでした。事態が推移すれば最悪地上を砲撃しないとも限りませんものね。
リト族の族長はカーン様という方で、彼はリンクのシーカーストーンを見て「ハイリア人の英傑様…？ いや、生きているはずがないな。つまり末裔か」と自己完結したようでした。
リンクは「うん、俺末裔だから多分メドーの中に入れるよ」と言い、ウヤムヤにしてしまいます。…説明が面倒くさいの、超わかります。
「神獣に乗り込めるのは英傑のみと聞いていましたが、子孫もまた可能なのですね。あなたが神獣に乗り込めるのであれば、ぜひあれを止めて欲しい」というカーン族長のお願いに、リンクは無言でサムズアップしました。
神獣ヴァ・メドーに乗り込むにあたり、ハーツという弓職人、サキという女性に詳しい話を聞いたリンクは、過去の英雄リーバルとのちょっとした過去を思い出しつつ、飛行訓練場に向かいます。
そこにはテバというリト族の戦士がいて、彼はメドーを止めるために単身乗り込む覚悟をガン決めしていました。
「俺も手伝うよ」
「翼もないお前がか？ 無理に決まっている」
「リーバルみたいなこと言うなあ」
「なぜお前がリーバル様を知っている」
「なんとなくそう言うんじゃないかと思っただけ」
100年前の英傑リーバルは今や多くの戦士の憧れになっているそうです。努力家で、潔いほどかっこいい方でしたからね。わからなくはありません。
「手伝うと言われてもな。あの神獣を本当に止めるには中に入らないとダメだ。だが神獣には英傑しか入れない。そしてその英傑は全員その当時に亡くなっている。つまりお前がいてもなんの意味もない」
「俺ルッタとルーダニアの中に入れたよ」
「寝言は寝て言え」
まあ奴を黙らせることができればなんでもいいか、と彼はため息をつきました。完全に異常者を相手にする健常者の様相です。
「協力者が多いに越したことはないからな。お前、弓は使えるのか？ …ふむ、腕は確かなようだな。なら今度はこっちがお願いする番か」
そうして彼はメドーの中に入る方法を教えてくれました。
「メドーは侵入を拒むバリアと近付くものを撃ち落とす砲台を持っている。2つのうち、バリアの方はどうにもならん。だからまずは砲台をぶっ壊す。俺がおとりになって砲台の攻撃を引きつけるから、お前が砲台を壊すんだ」
「砲台を壊したらバリアも消えるかもしれないしね。いいよ、わかった」
ルッタの時も攻撃や放水をやめさせたら中に入れましたしね。その作戦で行きましょう。
「上空はクソ寒い、寒さ対策しとけよ」と言われたリンクはさっそくモコモコに着込みます。これは少し意外でした。寒さ対策の薬を使うか、「動きにくくなるのが嫌だから我慢して薄着でいくよ」と言うかと思ったのですが。
「俺、この軽くてふわふわであったかいリト服が好きなんだ。空も飛べる気がするしね」
そう言い、リンクはニコッと微笑みます。
…イケメン…！！ 女性プレイヤーにも愛されるよう綺麗で可愛い感じにデザインされた私のリンクがこんなにも可愛い！！！！！
そんなリンクは張り詰めた弓の震える弦で月の光にざわめく心などなく研ぎ澄まされた刃の美しいその切っ先によく似た横顔でメドーの砲台を容赦なくぶっ壊しました。
『おや、見たことある顔だ』
メドーの中に入ると、懐かしい声が聞こえてきます。
英傑リーバル。なにかにつけてリンクをライバル視していたツンデレの君のご登場でした。
『ま、君はここに来るとは思ってたけど。でも100年ってのは待たせすぎだよね』
ほらツンデレです。リンクは苦笑し、いつものように勇導石でマップを手に入れて制御端末を操作していきました。
メイン制御装置を起動するなり現れたのは、ガノンの分身である「風のカースガノン」。『僕の仇討ち、頼んだよ』というリーバルの声は、開戦直後に放ったリンクのバクダン矢の轟音でかき消されてしまいました。
…神獣内部におけるリンクの戦闘はいつもそうです。神獣内での派手な迷子っぷりをかき消すかのように苛烈で、集中力が増して隙がなく、とにもかくにも勇猛果敢なのでした。きっと記憶がないながらも英傑たちを害したカースガノンに怒っているのでしょうね。
『本当に倒しちゃったのかい。シャクだねえ…』
リンクが風のカースガノンを倒すと、今まで抑圧されていたものが解けたかのようにリーバルがその姿を現しました。
リーバルは上昇気流を発生させる力「リーバルの猛り」をリンクに託し、『僕はメドーを移動させてガノンを討つ準備に入るよ』と背を向けます。…せっかく100年ぶりに会えたのだから、ツンデレといえどももう少し交流を図りませんか？
『君も早く戻ったら？ まだやることが残ってるだろ』
…正論です。少々そっけないですが、これが彼の、彼らしい激励と取るべきなのでしょうね。
『あの姫は…君をずっと待ってるんだぜ』
…リーバル！！！（大泣）
それはそうですが…待ってはいますが…！ 私はあなたたちにも旧友を深めて欲しいと思っているのですよ…！
リーバル…リーバル。いつまで経っても封印の力に目覚めない私にさぞ苛ついていたことでしょう。それなのにこんな私を気遣ってくれて。本当にありがとう、リーバル…。
リンクはまるでリーバルから追い出されたかのようにリトの村に戻っていました。
カーン族長、テバの親友ハーツ、テバの妻サキに感謝され、リンクは「よかった」と微笑みます。…子供のように無邪気だった以前と異なり、すこしだけ雰囲気が変わったように感じます。あるいは少しずつ記憶を取り戻し、厳格な近衛騎士だった頃に近付きつつあるのかもしれませんね。
すこしだけ嬉しいような、それでいて何かを失ったかのように悲しいような、なんとも不思議な気持ちです。
なにはともあれ、ありがとうリーバル、ありがとうリンク。四神獣の解放、三体目クリアです！
ブレワイアテンダント12→四体の神獣を解放せよ「雷の神獣ヴァ・ナボリス」（前編）
