レフカンディを越え無事アカネイアに入った同盟軍は、そのまま南進して首都に向かわず、東進して貿易港ワーレンに入った。
ワーレンはドルーアに税金を払うことで自治を保っており、その性質上、どのような勢力も、すなわち同盟軍も排斥しない街だ。
戦力を確保するため、休息を取るために立ち寄った港町で、マルス王子たちは束の間の平穏を楽しんでいた。
まあ密告者とはどこにでもいるもので、すぐにグルニア騎士団に包囲されたが。
マルス王子はマルス王子で、街の傭兵の助けを借りてサクッと包囲網を突破していたが。
無双ぶりがすごい。
グルニアの騎士団の追撃を振り切ったあと、1騎のペガサスナイトが王子のもとを訪れた。
彼女の名はカチュア。俺の妹ミネルバに仕える天馬騎士だ。
敵軍マケドニアの天馬騎士として全員から警戒される中、カチュアは決死の覚悟でマルス王子にこう訴えた。
「ミネルバ王女率いるマケドニアの白騎士団はドルーアへの反乱を計画しています。
しかし王女の妹姫であるマリア様が人質となっており身動きができない状況なのです。
どうかマリア様の救出にマルス様のお力をお貸しください」
…兄妹間の報連相を怠ったツケがきた瞬間だった。