蘇我入鹿は?~645年、飛鳥時代の豪族。
蘇我氏は武内宿禰(たけうちのすくね/第12代景行天皇から第16代仁徳天皇まで5代の天皇に仕えたとされる神話的な忠臣)を始祖とする豪族とされています。
渡来人と深い関わりがあると言われ、文物や仏教の伝来にいち早く対応したのもこの一族(そして昔ながらの神道を信奉する豪族に嫌われる)。
親族はみな有名で、曾祖父は蘇我稲目、祖父は蘇我馬子、父は蘇我蝦夷。これはあいうえお順で覚えるといいですよ。
最後も「い」ですが、それくらいは自分でなんとかして覚えましょう。
| 崇仏派 | 廃仏派 | |
| 蘇我稲目(い) | 対立 | 物部尾輿 |
| 蘇我馬子(う) | 攻撃→ | 物部守屋 |
| 蘇我蝦夷(え) | …滅亡 | |
| 蘇我入鹿(い) | ||
| …滅亡 |
| 曾祖父・蘇我稲目 →崇仏派であり、廃仏派であった物部氏と心底仲が悪い |
| 祖父・蘇我馬子 →聖徳太子や後の推古天皇と共に物部氏を破る→日本に仏教が広まる |
| 父・蘇我蝦夷 →自らの血縁者を天皇に嫁がせることで権力を強め、大臣街道邁進中 |
| 子・蘇我入鹿 →中大兄皇子、私塾で同期だった中臣鎌足に殺害される |
蘇我馬子は推古天皇・聖徳太子とセット、
蘇我入鹿は中大兄皇子・中臣鎌足とセットで覚えるといいでしょう。

流れはこう
- 622年、聖徳太子が亡くなる
- 626年、蘇我馬子が亡くなる
- 628年、推古天皇が亡くなる
- 推古天皇は聖徳太子の息子である山背大兄王(やましろのおおえのおう)と第30代敏達天皇の孫である田村皇子を呼び出してそれぞれに遺言を残したが、後継者を指名しなかった
- 境部摩理勢(さかいべのまりせ/蘇我馬子の弟)は山背大兄王を推していたが、田村皇子を推していた蘇我蝦夷が兵を挙げて境部摩理勢を自殺に追い込んでしまう(このせいで蝦夷は山背大兄王に嫌われる)
- 629年、田村皇子が第34代舒明天皇に即位。蘇我氏が皇室と親戚関係を結び、朝廷の財政や外交を好き勝手に動かすように
- 643年、第35代皇極天皇の即位に伴い、父・蝦夷に代わって入鹿が大臣に就任。この時、蝦夷が天皇の承認を得ずに入鹿に「紫冠」を授けたとして、大いにやっかみを受ける
(ただし、「紫冠」は聖徳太子が作った冠位十二階から独立した存在であるため、蘇我氏内部で継承したとしても何ら問題はなかったという説も) - 643年12月20日、蘇我蝦夷・入鹿親子が山背大兄王とその一族を滅ぼす(襲われて、父の建てた法隆寺に入り自決したとも言われる)
その理由として、入鹿は当時の国際情勢を鑑み、「有能な個人が傀儡王を立てて独裁権力を振るえばよい」という高句麗方式の権力集中を目指していたと考えられている - 644年、天皇の住居を見下ろす位置に邸宅を築き、「我が家は天皇の宮殿と同格!」みたいな態度をとる
- 645年7月10日、朝鮮半島からの使者を迎える儀式の最中に中大兄皇子(後の第38代天智天皇)と中臣鎌足(後の藤原氏の祖)が入鹿を殺害する。飛鳥板蓋宮の大極殿、皇極天皇の御前でのことじゃった(乙巳の変)(→大化の改新へ)

宮中にて首を飛ばされた入鹿の絵画は有名!
この事件を知った蝦夷は館に火をつけて自害。
蝦夷と入鹿の一族は皆殺しとなり、以降蘇我氏は歴史の表舞台から姿を消した…(完)
となります。
| 第33代・推古天皇 592年~628年 敏達天皇の皇后にして初の女帝。聖徳太子、蘇我馬子の助けを得て政治を行う |
| 第34代・舒明天皇 629年~641年 敏達天皇の孫。蘇我蝦夷によって聖徳太子の子を抑えて天皇となる |
| 第35代・皇極天皇 642年~645年 舒明天皇の皇后にして2人目の女帝。この時、乙巳の変と大化の改新が起きる |
暗殺の合図となる上表文を読んでいたのが入鹿の従兄弟にあたる蘇我倉山田石川麻呂だったそうで、まー蘇我氏内でも色々な争いがあったのでしょうね。
これについては「大臣の座をあげるから蘇我氏を裏切れ」というお誘いに乗せられてしまった説もあり、名門一族といえどもなんとも世知辛いものです。

とはいえ、「蘇我入鹿ってどんな人?」ときくと、
- 母校に「吾が堂に入る者に宗我大郎(蘇我入鹿のこと)に如くはなし」と言われる程の秀才だった
- 学識と人格に優れ、最新の統治技術や国際情勢を積極的に学んでいた
- 入鹿の皇室への越権行為は、西から侵攻してくる可能性がある唐や百済、新羅を警戒していたためのものだったのでは?
という説が出てくるほど。
もはやガンダムWのドロシーに等しい。

彼が現代の政治家だったらどんな外交をしただろうね
飛鳥寺境内と甘樫丘にほど近い場所に「入鹿の首塚」が存在します。
この高見山に鎌を持ちこむと必ず怪我をする、それは入鹿を殺害した中臣鎌足の「鎌」の字を忌むからだ、とされているそうです。
おしまい。
