王女が…将来の婿のために…作る鎧…?
…ジャスタモーメン。クールダウン…クールダウン…。
ミファーの教育係だったムズリさんが「ミファー様が作った大切な鎧をなんでこんな男に渡すのですか!」と激反対しますが、「リンクこそミファーの姉さんの想い人。この鎧がリンクにピッタリなのがその証拠だ」とシド王子に一蹴されてしまいます。
…タイム。タイムアウトプリーズ…。
…確かにミファーは、他者の傷を治す稀有な力を有し、それを自慢することなく、「あなたの傷を治してあげられるのが嬉しい」と控えめに微笑む素敵なお姫様です。
リンクとは幼なじみだそうですし、将来の約束の1つや2つや3つや4つしていてもおかしくはありません…。
ですが…ミファーがリンクを…婿に…婿に…婿に…。
私が呆然としている間も、リンクはミファーが作った鎧を着て滝を登り、雷獣山にいるライネルのところに乗り込んで電気の矢を奪い(永遠にコソコソしていました)、東の貯水庫に向かいシド王子と合流し、ルッタの氷攻撃をかいくぐりながら放水装置を電気の矢で射抜き、結果見事ルッタの放水を止め、とやるべきことを淡々とこなしていきました。
いえ、いいのですが…普通女の子から婚約の鎧をもらったらなんかこう、ないものですかね…。
「放水が止まったな! これで最悪の水害は免れた! だが君はここからが本番だ。ルッタの制御頑張ってくれ! ゾーラの里で待ってるぞ! リンク、君は最高だ!」
シド王子の激励で私も我に返ります。そう、ルッタに乗り込むのですよね。神獣の内部がどうなっているのか、ガノンの影響、ミファーのことも、私もとても気がかりです。どうか、どうかひどいことになっていませんように…!
『…無事だったんだね』
リンクがルッタの中に入った瞬間、優しい声が響きます。
ミファー…! あなたなのですね! 実体はなく、魂だけになってしまっているようですが…私のせいですね、ごめんなさい…。
ああ、でもまたこうして語り合えるなんて!
『私、思ってた。いつかあなたがここに来てくれるかもって』
リンクとの再会を喜ぶミファーは、けれど乙女の感傷には浸らず、英傑らしくキリッと、『ルッタを取り戻すには内部の構造を示したマップを手に入れ、神獣内部にある複数の制御端末を操作する必要があるの』と教えてくれました。
そうなのですね。大丈夫、リンクならやり遂げます。あなたの鎧に守られた野生と直感の勇者を信じてください!
言われた通り神獣を制御する端末を操作していくリンクは、「…ミファー、ちょっとヒントくれない?」『…ごめんね、見えないというかわからないというか、それは言えないことになっているみたいなの…』みたいな寸劇を挟みつつ、全ての制御装置を起動させます。
最後にメイン制御装置を起動した瞬間、リンクは大きな害意にさらされました。
出現したのは、ミファーを差し置いてルッタを我が物顔で操る、ガノンが作ったバケモノ「水のカースガノン」。
ガノンの分身とも言えるカースガノンは、100年前、各神獣の中でそれぞれ英傑たちを殺めた罪深い存在です。許せません。リンク、ギッタンギッタンのケッチョンケッチョンに…あわわ、退魔の勇者、未だかつて見たことがない鬼神の如き猛攻…(※無言無表情)。
こうして水のカースガノンは秒で海の藻屑となったのでした。…私の近衛騎士がつよい…。
ガノンの邪悪な力を排除し、制御を取り戻した神獣ヴァ・ルッタに、ミファーの清らかな声が響き渡ります。
『ありがとう。おかげで私の魂は解放されて、このルッタも取り戻せた』
ミファー…!
『でも、昔のように遊ぶのはもう無理みたい…』
ミファー…。
『治癒の力も、魂だけになった私にはもう使えない。だからあなたに託すね』
そう言い、ミファーはリンクに「ミファーの祈り」という特別な能力を授けてくれました。
ありがとうミファー。その治癒の力はかつての力や大切な記憶を失った彼にとって何よりの福音となることでしょう。
『…昨日までずっと泣き続けてた。魂だけになってここにとらわれて、これから永遠にひとりきりなんだって』
ミファー…。
『だけど今日、あなたが救ってくれた』
ミファー…!
だからもう大丈夫、とかつてと同じようにミファーは穏やかに微笑みます。
そして。
『リンク。あの人を…姫様を…助けてあげて』
…。
…ミファー…!!!!!(大泣)
こんなことになったのはすべて私のせいなのに! ありがとうごめんなさいありがとうごめんなさいありがとうごめんなさいありがとうごめんなさい(※永遠に続く)。
…ルッタから降ろされたリンクはゾーラの里に戻され、ドレファン王とシド王子から感謝の言葉を賜りました。
「リンク、本当にありがとう! 君には感謝してもしきれないゾ!」
ルッタを鎮めるため最前線で動き続けていたシド王子は、今回のことで一回りも二回りも大きくなったようでした。
「…そなたはルッタから生還した。だがミファーは戻ってこなかった。ミファーはもう手遅れだったということか?」
…ドレファン王は今でもミファーの帰りを待っていたのですね…。
「…そうか、魂となって…。ワシは何もしてやることができなかった。だがミファーが英傑の役割を完遂する邪魔をせずに済んでよかったのかもしれん」
ドレファン王…何もしてやることができなかったなんて、そんな。
「あれはそなたのことが大好きだった。ミファーのことを忘れないで欲しい」
「はい」
ドレファン王の言葉に力強く頷き、リンクはゾーラの里を後にするのでした。
…ありがとうミファー。ありがとうリンク。四神獣の解放、一体目クリアです!
ブレワイアテンダント10→四体の神獣を解放せよ「炎の神獣ヴァ・ルーダニア」