マケドニア王ミシェイルによる「暗黒竜と光の剣」アテンダント●第十五章「マムクート・プリンセス」

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無事祖国奪還を果たしたマルス王子だが、休んではいられない。

ガーネフのチート魔法に対抗するため、ガトーがオーダーした星と光のオーブを入手しに行かなければならないからだ。

目指すはラーマン寺院。ここはメディウスのようなチンピラ竜とは一線を画す神聖な守護竜ナーガを祀る古代神殿である。

ナーガが守護竜と呼ばれているのは、かの竜の守護が竜のみならず人間にも向けられるからだ。

まさに神剣ファルシオンにしてからがナーガが自らの牙を研いで作ったものであると言われている。

そんな偉大な竜を祀った神殿ならば、俺もぜひ一度観光に行ってみたいものだ。

 

 

 

 

カシミア海峡でグルニア黒騎士団をサクッと退けたマルス王子たちは、ラーマン寺院に入り、剣士、魔道士、盗賊共を倒したその先で、一体の竜と対峙する。

「あぁあああぁあぁああぁぁあぁぁぁぁああ!!!」と叫んで突っ込んでいく老人、「うわびっくりした」と肩をビクつかせる騎士、「危ないですよーバヌトゥさーん」と注意する魔道士、「すごい大声だったね」と首をかしげつつ微笑むマルス王子。

その老人がバタバタ手足を動かしながら敵の竜に話しかけると、竜はゆるく瞬いて、ふわりと幼女の姿になった。

 

老人の話によると、その幼女は火竜族、氷竜族、地竜族、魔竜族といった数多の竜を束ねる神竜族の王女であるという。

つまり神竜族ナーガの娘ということなのだが、アカネイア建国の4000年前から存在していたと言われる竜の姿が人間に換算すればまだ幼女って、一体どれだけ長生きなのだろうな。

チキは! ガーネフめに!! 操られていたのです!!! マルス王子に敵対する意思はありません!!!! ご慈悲を!!!!!」

バヌトゥ老人はまるでマルス王子が無慈悲な独裁者であるかのごとき命乞いをするが、気持ちはわからないでもなかった。

ここにいるのはマルス王子を中心に頂く多国籍軍。マルス王子に何かあれば、各国ごとに何をしてくるかわからない。

神竜族といえども出会い頭に敵対する意思がないことを示すのは賢い処世術であると言えた。

 

何千年も生きている割に見た目も言動も幼い神竜族の王女チキは「これ以上ひとりで眠るのはいや。みんなと一緒にいたい」と率直な望みを口にし、「じゃあ僕たちと一緒に行こう」と微笑まれて、サクッとマルス王子の庇護下に入った。

出会って数分で神竜族の王女をも味方に引き入れるマルス王子の器、半端ない。

星と光のオーブも無事手に入れ、まさに向かうところ敵なしのマルス王子。

…俺と彼はどうしてこうも違うのだろうな。

 

 

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