さて、自分が何をできるのか、何をすれば自分の身が危うくなるのかを身を持って知っていったリンクは(のっけから大冒険でした)(これぞまさしくオープンワールドの弊害ですね。EDまで一本道であってほしかったです)、祠から出た先で一人のご老人と出会います。
始まりの台地に人がいたのですね…。いったいどこからよじ登ってきたのでしょう。
気難しそうに見えて親切なご老人は、ここが「始まりの台地」と呼ばれる断崖絶壁の上の陸の孤島であること、100年前、ここから見えるハイラル城を中心としたハイラル王国が滅んだことを話します。
対するリンクは興味なさげなノーリアクション。炙ったキノコをモリモリ食べつつ「へ~」。すごいです…どうすればいいのこれ…。
時の神殿跡に行く途中にいたボコブリンにも苦戦するリンクを見て、ご老人は無限に不安げな表情を浮かべます。鏡はないけれど、私の表情もきっと似たようなものだったでしょう。
リンクは朝と昼と夜を経験し、晴れと曇りと雨と雷を経験し、その辺に点在する敵を倒すことに挑戦し、弓矢で爆弾樽を撃って景気のいい爆発を見(拍手喝采かと思えば無表情)、朝まで暇を潰しても体力が回復しないことに「?」となり、コログ(森の妖精です)を見つけては「?」という顔をしながら、永遠にのんびりライフを満喫しています。
その無邪気さといったら、ここが終末を控えた瀬戸際の世界であることにも気付いていないかのようでした。
彼が「始まりの塔」と呼ばれるシーカータワーを起動したのだって、遊びついでの偶然のようなものだったのです。
こんなところにシーカータワーが埋まっていたなんて…。私は「なんでもやってみよう!」という彼の小学生的無邪気さに感謝しましたが、それはそれとしてさすがに遊びすぎでした。
強制的にシーカータワーのてっぺん(超高い)に連れて行かれたリンクは、空飛ぶ風呂敷改良版ことパラセールで降ってきたご老人と改めて話をします(めちゃくちゃパラセール欲しそうにしてました)。
ご老人は見晴らしのいい景色を眺めながら、ハイラル城を包み込む禍々しい怨念の塊を「厄災ガノン」といい、その者が100年前にハイラル王国を滅ぼしたことを再度リンクに伝えます。
そして、今もゼルダという姫が厄災ガノンを封じ込めるために戦っていると言い、探るようにリンクの反応をうかがいました。
「あの城へ行きたいか?」
訊ねるご老人に対し、リンクは城を見つめたまま、しばらくの間、黙っていました。
やがてどこか上の空で、「…多分」と答えます。…多分、ですか。近衛騎士として、任務で、責任で、誇りで、忠誠心で、いつも私を守ってくれたリンクが。本当に記憶を失っているのですね…。
「そうか。だがここは標高の高い陸の孤島。このパラセールを使わねば降りられん」というご老人に、リンクは「じゃあそれください」と間髪入れずにブッ込みます。まるっきり子供の反射です。
「いいだろう。だがタダというわけにはいかん。お宝と交換じゃ」
「お宝?」
「うむ。お主がシーカータワーを起動した時、近くの祠が怪しく光り始めたのだ。きっと中にお宝が眠っていよう。それと交換じゃな」
ふむふむ、シーカータワーを起動した時に怪しく光り始めた祠が…ってそれは退魔の剣を手にした勇者が挑戦する試練の祠ではないですか!? 100年前はシーカータワー共々何をどうしても起動しなかったのに!
ナイスですご老人! それはもともと勇者であるリンクが行くべき場所なのです! リンク、どうかご老人の言う通り祠の試練に挑戦し、リハビリがてら100年前の自分の強さを取り戻してください!
そしてどうか、ハイラル城の怪物が本当の力を取り戻す前に、私のところに来てくださいね。
ブレワイアテンダント3→閉ざされた台地(前編)