マケドニア王ミシェイルによる「暗黒竜と光の剣」アテンダント●第一章「マルスの旅立ち」

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地図を見ればわかる通り、アリティアからタリスとか一心不乱に逃げすぎだろと思うが、周辺国の情勢を考えれば無理もないことではあった。

タリスといえば、アカネイアの残党が各地で小うるさく蠢動するこの時期にわざわざ監視の兵を出すのがもったいないほどの辺境国だ。

初代の国王であり現国王であるタリス王は、群雄割拠だったタリス島の統一を果たしたことで知られている…らしいが、これは俺も最近知った。

俺が知らなかったのだからドルーアの竜共が知るはずもなく、そんな場末の王国だからこそマルス王子をはじめとするアリティア王国の残党がドルーア帝国の監視の目からのがれ続けることができていたのだ。

 

タリス王はコーネリアス王と親交があったらしく、マルス王子をあたたかく迎え入れ、東の砦を与えて遇したという。

王子はそこで雌伏の時を過ごしたが、裏切りの末に殺された父、敵に連れ去られた母と姉…。

俺が言うのもなんだが、心が休まる時などなかったのではないだろうか。

 

2年が経ち、いつまでもこのままではいられないと決意を新たにしただろう頃、良くも悪くも運命を変える出来事が起きる。

マケドニア以外では見かけることが珍しい天馬騎士であり、タリス王国の王女であり、マルス王子を兄と慕うシーダ姫が、タリス城が突如として地元の海賊に占領されたという報をもたらしたのだ。

城を海賊に制圧されるて(絶句)。勇者アンリを祖に持つ騎士の国アリティアや英雄アイオテを祖に持つ竜騎士の国マケドニアでは到底考えられない失態である(マケドニアにもバイキングはいるが、なに、あんなものは秒で竜の餌である)。

 

ともあれ、マルス王子は世話になったタリス王を救うため出陣を決意する。

それはそのまま「タリス王国にアリティアの残党軍あり」という事実を世に知らしめる宣伝となり、そこから彼の故郷に向けての進軍がはじまったのである。

 

 

…ちなみに、この地図を書いたのは俺ではなく俺の下の妹のマリアであることを付け加えておく。

 

 

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→第二章「ガルダの海賊」

 

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