マケドニア王ミシェイルによる「暗黒竜と光の剣」アテンダント●第十二章「魔道の国カダイン」

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サクッとグラ城を制圧したマルス王子は、心中の感情を顔にも言葉にも出さず、やるべきことをこなしていった。

結論を言うと、グラ王ジオルはファルシオンを持っていなかった。

奴の言によると、「ガーネフだ。ガーネフはファルシオンを欲しがっていた。私はガーネフに利用されたのだ!」とのことらしい。どうでもよい。

同盟国であるアリティアを裏切り、その王を殺し、重要な神器も持っていないのならば用はない。そう言い無慈悲に奴を斬ったのは誰だっただろうか。

俺は俺でカミュのショックが尾を引いていたのでその辺りの記憶が曖昧だった。

 

ということで、現在、神剣ファルシオンはカダインの大司祭ガーネフが持っているらしい。

 

カダインといえば、アカネイア歴550年、白き大賢者ガトーが設立した魔道学院がある砂漠地帯である。

魔道士や修道士の修行場として発展したが、やがて愚かな人間が魔道を戦争や商売に利用し始めたことに失望したガトーは、その地を去ったと言われていた(まるで「その後彼を見た者はいない」みたいな言いようだが、実は普通にマケドニアに住んでいる。何を隠そう我が家のご近所さんだ)。

しばらくの間は大賢者ガトーの弟子である大司祭ミロア(光の魔道士リンダの父だ)がカダインを統治していたが、そのミロアも、ガトーから重要な魔法を授けてもらえなかった兄弟弟子のガーネフの妬みによって殺されてしまう。

その時からずっと、カダインは負の気が渦巻く暗黒の地と化したかのようだった。

(ちなみに、この魔道学院は砂漠にあるため、魔道士や修道士たちは砂漠での歩き方を必然的にマスターさせられる。魔法の力とか精霊の加護とか色々な説明もあるが、ファイアーエムブレムシリーズにおいて魔道士や修道士キャラが砂漠での移動に優れているのは、この初代の設定が連綿と受け継がれているからなのだ)

 

 

というわけで、西進すればマルス王子の故郷アリティアは目と鼻の先だったが、彼らは北進し、カダインへ向かった。

ここまできたら神剣ファルシオンを奪取してから故郷に戻りたいという気持ちはわからなくもない。なんかもう応援するぞマルス王子。

 

だが、そうは問屋が卸さなかった。

カダインに行く前に、なんとガーネフ自らがマルス王子に会いに来たのである。司祭のくせにエラい度胸の持ち主だな。

まあそれもそのはず、ノホホンとやってきたガーネフは暗黒魔法マフーの使い手であり、この魔法がまたえげつないほどチートだったのだ。

向こうは好き勝手攻撃してくるのにこちらは一切反撃ができないとかどういうバグだ? BAN死に値する。

ただ、朗報もあった。神剣ファルシオンはやはりガーネフが持っていたのだ。

ガーネフは、言葉だけでは信憑性がなかろうと実際に実物を見せながら(親切)「このファルシオンが欲しくばテーベまで来るがよい」と言い残して消えた。

テーベといえば、死の砂漠マーモトードにあるという古の幻の街だったか。どれだけ御足労させる気だ。

竜騎士を有する我らと違い、マルス王子たちは移動手段が徒歩しかないんだぞ。せめて交通費をよこせ。

 

そんなこんなで、結果的にガーネフ不在のカダインに乗り込んで当地を解放し、その場を寂しく通過するだけになったマルス王子だったが、そんな彼に魔道通話で接触してきた者がいた。

驚くなかれ、50年前も老人で今も最先端の老人である大賢者ガトーである。

ガトーはスマホのテレビ電話の要領でマルス王子に語りかけた。

 

「ガーネフは、マフーとファルシオンを手に、ドルーアさえも制して世界を支配しようとしている。現状ではガーネフのマフーを破る術はない。星と光のオーブを我の元へ持って来れば、マフーを封じる魔法、スターライトを授けよう」

 

 

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→第十三章「アリティアの戦い」

 

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